にほんのくらし 神無月
神無月の兆し 「秋の雲」
「天高く馬肥ゆる秋」という言葉があるように、秋の晴れた空はとても高く美しく見えます。
晴れの天気は高気圧によってもたらされるのですが、秋の晴れは大陸からの高気圧によるものです。
この大陸からの高気圧は乾燥しているため、空が澄んでみえます。
又、秋分の日を境に陽射しの強さが弱まり気温が下がっていくと、空気の対流が起こりにくくなり塵やほこりが空気中に少なくなるため、より青々と見えるのだそうです。
澄み渡った秋の青く高い空には、特徴的な雲がよく見られます。
代表的なものとして、いわしが群れで泳いでいるように見える「いわし雲」、「さば」の背にある斑紋のような「さば雲」、魚のうろこのように見える「うろこ雲」、ひつじの群れに似ている「ひつじ雲」、などがあります。
「いわし雲」、「さば雲」、「うろこ雲」と呼ばれる雲は正式には券積雲(けんせきうん)といい、「ひつじ雲」は高積雲といいます。
高度2000~7000キロ程度にできる高積雲は、主に水滴からなり、小さな雲の塊が斑状や帯状に並んだ形の雲で、巻積雲に比べて一つ一つの塊が大きいのが特徴です。
「うろこ雲」や「いわし雲」、「さば雲」は、高度5000~1万5000キロ程度に出来る巻積雲で、小さな塊が沢山集まっている雲です。
実はどの雲も年中見られるのですが、前述のように秋は空が澄みわたり上空高くまでよく見渡せるため、これら高積雲や巻積雲もよく見えるのだそうです。
空気が澄んで青く高い空に、様々な形を描いて広がる雲の様子を、この秋はゆっくり楽しんでみたいですね。
神無月の年中行事 「えびす講」
えびす講とは、七福神の一人である「えびす様」をおまつりする行事です。
「えびす様」の「えびす」は、「戎」、「恵比寿」、「胡」、「恵比須」、「蛭子」、「夷」、など色々な表記があり、「えべっさん」、「えびっさん」などと呼ばれることもあります。
福々しい顔に烏帽子を被り、右手に釣り竿、左手に鯛を抱えたおなじみの「えびす様」は、七福神で唯一の日本の神です。
元々「えびす様」は、古くは海運守護や豊漁祈願といった漁業の神でしたが、次第に商人には商売繁盛の、農民にとっては五穀豊穣の神として、それぞれの家にとっては家運隆盛の神として信仰されるようになりました。
「えびす講」は講のひとつで、同業者が集まって行う祭祀だったのですが、どの職業の人にとっても御利益があるとされるようになって、「えびす様」は日本の各地域でお祀りされるようになりました。
そして全国的に行われるようになった「えびす講」の日には、青物を売る市が立ち、様々な縁起物を飾った福笹や熊手などが売られるようになりました。
「えびす講」を行う時期は、関東をはじめ多くの地域では十月二十日に行うことが多いので、「二十日夷(はつかえびす)」と呼ばれます。
関西では一月十日に行われることが多く、「十日夷(とおかえびす)」と呼ばれるようで、地域によって日程が異なっています。
ところで旧暦十月は神無月といいますが、これは日本中の神様が出雲大社に集まって話し合いをするため、各地の神様が不在になるからついた名です。
「えびす様」も神様なので、当然神無月は出雲に出かけると思いきや、何故か各地に居残ります。
実は「えびす様」は各家を守る福の神なので、神々の留守を守るため、各地に一人残ってくれるのだそうです。
いつの世も留守番をしてくれる奇特な役回りの人がいてくれるものですが、「えびす様」は神様の中の「留守神」なのですね。
神無月の和菓子 「月見団子」
お月見行事は中国から伝わった観月の宴で、日本には平安時代半ばに伝わりました。
宮中で貴族たちは管弦を奏で、歌を読み、酒を酌み交わして月を愛でました。
お月見は本来は「十五夜」だけを見るのは「片見月」で不完全とされ、旧暦九月十三日の「後の月」も「十三夜」と名付け、十五夜共々愛で楽しみました。
お月見には月見団子を供えますが、供え方としてはお月様がよく見える場所に三方を置き、十五夜には15個、十三夜には13個のお団子を高く盛ります。
十五夜の頃は里芋の収穫時期なので「芋名月」、十三夜の頃は豆や栗の収穫時期なので、「豆名月」「栗名月」とも呼ばれます。
お団子の多くは、満月の丸い形になぞらえた丸い形ですが、関西などでは「芋名月」に因み、楕円形や芋形になっています。
他には餡やきな粉が付いている地域もあり、お月見団子も地方色あります。
お供えにはお団子と共にそれぞれの時期に収穫できる里芋や豆などの収穫物を一緒に備えることもあります。
そして多くの場合、すすきを飾ります。
何故すすきを飾るのでしょうか?
これはお正月の門松と同じで、すすきは背が高いので、神様が来てくださるための目印である「依代(よりしろ)」になるからです。
古来、月の満ち欠けのサイクルは、農業を行う人びとにとっては重要な目安でした。
月のリズムに沿って行った農耕の実りを収穫できる時期に、ちょうど一年で一番美しい月を見ることが出来るという自然の妙。
命をつないでくれる大切な米を団子にして供え、実りをもたらしてくれた月に感謝して、収穫を祝ったのだと思います。
古来の人々は、ただ満月で美しいというだけでなく、目に見えない神の力を月の内にも感じながらお月見をしたのでしょう。
神無月の風呂敷の俳句
月の座の風呂敷包解かれずに 波多野爽波
神無月は長月の十五夜と共に十三夜の月が美しく見える月です。
「月の座」というのは月見の集まりのことで、秋の夜長、知人友人、同好の士で月を愛でる会を催した折のこと。
それぞれにお月見の会のために、お酒や食べ物を持ち寄ってきたのでしょう。
お酒はやはり日本酒が似合います。
食べ物はお月見団子は勿論のこと、十三夜は豆名月とも栗名月とも呼ばれる時期なので、豆や栗も持参した仲間がいるでしょう。
皆で一緒に味わおう分け合おうと、到来お酒や手作りの食べ物を持参したけれども、月のあまりの美しさに忘れたのか、解かれずそのままでおかれている風呂敷包みが一つ二つ。
解かれないままなのはちょっと寂しい気もしますが、風呂敷包みもお月見を一緒にさせてもらっているのかもしれません。
神無月のふろしき
月と兎柄ふろしき
神無月のふろしきYoutube 「ワイン包み」
ワインや日本酒の瓶などの瓶の首元に、風呂敷でドレープを作り重ねて結んで、華やかなラッピングが出来る包みです。
1分で出来る風呂敷包み 「ふ、ふ、ふ、ふ、ふろしき~ワイン包み~」
ふ、ふ、ふ、ふ、ふろしき!
つつんで、むすんで、おでかけ!(フー!)
ボトルの首に プリーツ
真結びしたら おすまし
はなやか ワイン包みは
およばれギフトに ぴったり
ふ、ふ、ふ、ふ、ふろしき!
つつんで むすんで おでかけ!
なんでもできる おどろき!
フロシキブルに ふろしき!(フー!)