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にほんのくらし 卯月

卯月の兆し 「春の雨の名前」

乾燥した冬が明けると春が進むごとに空気が潤い、曇りや雨の日が増えていきます。
一雨ごとに草木が芽生え、花木の芽が膨らむ季節です。
そんな春には雨の名前が沢山あります。
「春の雨」と「春雨」は同じように聞こえますが、二月から三月にかけて降るのが「春の雨」、三月から四月にかけて降るのが「春雨」です。
「催花雨(さいかう)」とは花木の芽に「早く花よ咲け」と言わんばかりに降る雨で、「育花雨(いくかう)」や「養花雨(ようかう)」とも呼ばれます。
「菜種梅雨(なたねつゆ)」は菜の花の別名、菜種が咲く頃にしとしと降る雨で、こちらも「催花雨」と言われることがあります。
春に降る時雨(しぐれ)のことは「春時雨(はるしぐれ)」といい、花が美しく咲く頃でもあるので「花時雨(はなしぐれ)」とも呼ばれます。
「発火雨(はっかう)」は二十四節気の「清明」(春分から数えて15日目。2021年は4月4日です。)の頃にしとしと降る雨のことですが、「発火」と「雨」とは馴染まない気がします。
何故こんな名前がついたのでしょう。
「発火雨」の別名は「桃花雨(とうかう)」や「杏花雨(きょうかう)」で、一説には桃の花に降り注ぐ雨が火のように見えたことから名づけられたと言われています。
春霖(しゅんりん)とは「春の長雨」とも言われ、三春のうちの仲春から晩春の「清明」の時期に降る、ぐずついた長雨のことです。
いずれにしても春の花を誘い咲かせた後の雨は、二十四節気の「清明」の後に来る「穀雨(こくう)」となり、穀物を育てる恵みの雨となるのです。

卯月の行事 「新年度」

現在、日本では一年の始まりは1月1日で、元日には新しい年を迎え正月を寿ぎますが、学校や会社など多くの場所では四月が新しい事始めの「新年度」です。
この「年度」は、ある特定の目的のために作られた一年の区切りです。
官公庁が予算執行のため用いる期間を「会計年度」、学校などの学年の切り替わりを「学校年度」といい、これら二つが4月1日から3月31日までを括る年度の代表的な例です。
「会計年度」は元々は旧暦の1月から12月だったのが、その後の政変や地租の納期の変更、財政赤字の穴埋めなどで度々変更があり、最終的に1884年に現在の4月から3月末日までの期間になりました。
「学校年度」の元である江戸時代の寺子屋は、随時入学出来て進学の時期も各々の進度に合わせていたようで、「学校年度」はありませんでした。
明治時代になると西欧にならい、大学や高等教育は一旦は9月入学になります。
しかし、次第に国家として富国強兵を進めていく中、会計年度が4月から3月までとなり、軍隊の入隊開始も4月になります。
このことから小学校や師範学校の入学時期も4月となり、大正時代には高校も大学も4月入学となりました。
このような経緯で「学校年度」も現在のように4月から3月までとなりました。
最近は海外では9月を新年度としている国も多いため、日本も合わせようという提言も出ています。
生徒さん学生さんのためになるなら9月に「学校年度」が始まるのも悪くないことですが、日本の4月は桜をはじめ花が咲き始める春のよい季節。
新しいスタートを切る「新年度」には、今のところよい月のような気がします。

卯月の和菓子 「桜餅」

最近は暖冬のため春が早く四月を待たず桜が咲くことも多いのですが、やはり四月は桜の季節。
春爛漫、満開の桜の下で頂きたいのはやはり桜餅ですが、桜餅には大きく分けて関東風と関西風があります。
関東風は小麦粉や白玉粉などの生地を焼いてクレープのように餡を巻いた形で、別名「長命寺」とも言います。
江戸時代、桜の落ち葉掃除に困っていた墨田川沿いの長命寺の門番の山本新六が、落ちた桜の葉を塩漬けにし、餡を薄皮で包んだものに巻いて売り出したところ、大好評となりました。
そこから、この桜の葉の塩漬けを巻いたクレープ状の餅のことを「長命寺」とか「長命寺餅」と呼ぶようになりました。
一方、関西風は道明寺粉で出来た餅のような皮で餡を包み、桜葉の塩漬けで包んだものです。
道明寺粉とは餅米を蒸して乾燥し荒く引いた粉で、餅にするとお米のようなつぶつぶがあり、モチモチした食感が特徴です。
道明寺粉を使っているので、関西では桜餅のことを「道明寺」とも呼びます。
材料や形状は違うものの「長命寺」「道明寺」どちらの桜餅も、桜の葉の塩漬けで包まれています。
この桜葉には他の桜の花の葉より大きく産毛がないオオシマサクラの葉が使われ、ほぼ七割は伊豆の松崎町で作られているそうです。
桜の葉は塩漬けにすると「クマリン」というバニラにも似た芳香が生まれます。
この塩漬けの葉で包むことにより、桜餅は香り高く塩気で餡の甘さも引き立つ和菓子になりました。
関東風の「長命寺」、関西風の「道明寺」、どちらもお好きな方を頂きながら、今年桜の季節を楽しみましょう。

卯月の風呂敷の俳句

「さくらさくら 残りの夢は風呂敷に」 中ヤスヱ

今年の桜は全国とも、近年では一番早く咲きました。
昨年に続き、コロナのため桜の下でのお花見の宴会は元より、ゆっくり座ってお花見をするのは自粛の要請が出て、歩いて通りながら見るお花見が推奨されました。
そんな状態で例年より見る人は少なくても、今年はどこの桜も例年より早く満開になり、美しい花を精一杯咲かせてくれました。
満開の贅沢なほど豪華な桜に囲まれて声を上げた「さくらさくら」。
花の終わりを風に散らされ、はらはらと落ちる桜の花びらを惜しみながら呟く「さくらさくら」。
その年ごとの桜が見せてくれた夢の残りは、人それぞれ大きさや形が違います。
そんな夢の名残を持ち帰るには風呂敷がぴったりです。

卯月のふろしきYoutube

風呂敷を三角形に折り、下の二つの角を一つ結び、上の頂点の部分を真結びしたのが「しずくバッグ」です。
肩に掛けるとショルダーバッグに見える、便利でお洒落な風呂敷バッグです。

1分で出来る風呂敷包み 「ふ、ふ、ふ、ふ、ふろしき~しずくバッグ~」

ふ、ふ、ふ、ふ、ふろしき!
つつんで、むすんで、おでかけ!(フー!)
中表にして 三角形
ひとつ結びを ふたつ
表に返して 真結びふたつ
シンプル しずくバッグ
ふ、ふ、ふ、ふ、ふろしき!
つつんで むすんで おでかけ!
なんでもできる おどろき!
フロシキブルに ふろしき!(フー!)


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つつみ純子
お茶の水女子大学卒/風呂敷文化研究家/和文化コンシェルジュ/エコ・クッキング・ナビゲーター/福祉住環境コーディネーター2級/NPO法人徳育と人間力育成研究所アドバイザー
「日本の伝統文化を身近に再発見する」をキーワードに、風呂敷を通して、日本人の知恵や文化をお伝えしています。
又、日本古来の「年中行事」や「四季のしつらい」、「伝統食育」など、日本の生活文化を伝える講演やワークショップも展開しております。
2011年には国際交流基金からポーランド・グルジア等に派遣され、文化交流事業の風呂敷講師として、大学・政府関係機関などで風呂敷講座を行いました。
国内のみならず海外の方々へも、風呂敷を通して日本文化と日本の心をお伝えして参りたいと思い、 オリジナル風呂敷「ふろしきぶる風呂敷」と「つつみフロシキブック」を製作しました。
2020年東京オリンピックでは「大江戸オリンピックは風呂敷でおもてなし」を提唱しています。
また研究し纏めてきた「ふろしき学」が、2015年より都立で単位認定のある授業に採用され、実施しております。
学校教育の中でも、ふろしき文化をこどもたちに伝えていきたいと思っています。
「ふろしきぶる風呂敷」を活用した風呂敷文化の普及及び販売が、東京都中小企業振興公社の支援を受けることになりました。


□URL http://www.furoshikible.com/
□blog http://ameblo.jp/11264ki/
□Facebook https://www.facebook.com/junko.tsutsumi.332


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