望閑居 閑静な環境で自らの望む暮らしを実現するための庵を結ぶ。
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閑静な環境で自らの望む暮らしを実現するための庵を結ぶ。望閑居
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令和7年
横浜は港の街だという印象が強い。 けれど、この街に暮らすとそのイメージが必ずしも正確ではないということに気がつく。市内の土地は起伏に富んだ丘陵地と平坦な低地、そして埋立地が入り混じり変化に富んでいる。坂や階段がそこかしこに存在していて、港街というよりも、どちらかといえば崖の街と呼ぶ方がしっくりとくるかもしれない。 この敷地に向かう道も、平坦ではない。 蛇行していく急な坂道を登っていく。両脇に木々が迫り街灯もないこの道は、夜だけではなく昼間でも薄暗い。坂が終わりに近づくと木々が途切れ、唐突に視界が広がっていく。頭上には大きな空が広がり、足元には畑が広がる。最寄駅から徒歩で20分ほど。決して遠い距離ではないが、街の喧騒はここまでは届かない。耳に入ってくるのは風の音と、鳥の鳴き声、そして木々を揺らす栗鼠の足音だけである。 この静かな空間こそ、望んでいた環境だった。
庵を結ぶ。 家を建てる。というよりはこの表現の方が雰囲気として、しっくりとくる。 閑静な環境で自らの望む暮らしを実現するための行為。それこそがこの家の主題であり、大切なことであった。 ゆとりのある敷地に茅葺き屋根を現代的に読み解いた大きな屋根を被せる。畑と木々に囲まれた環境にこの家がしっかりと馴染んでいくためには、この存在感のある屋根がどうしても必要だった。この屋根こそが、古くから日本人に刻まれた田舎暮らしというミームを呼び起こす依代となる。
大きな屋根は上へ上へと大きな空間をつくってくれる。
奥へと奥へと水平に伸びていきながら、上へ上へと垂直にも伸びていく空間が、平屋の家にゆとりと変化をもたらしてくれる。
屋根の下の濡縁は、晴れている日も雨の日も外で佇む心地よさを教えてくれる。
屋根から滴る雨粒が石を穿つ音。 自然の営みと暮らしの営みが交わっていく。
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