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日本の浮世絵を楽しむ9 北斎と富士山

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日本の浮世絵を楽しむ9 北斎と富士山

「北斎と富岳三十六景」

葛飾北斎は生涯に渡り、実に多くの素晴らしい作品を描きましたが、「富岳三十六景」は彼の代表作であるだけでなく、今もなお日本のみならず世界の人々を魅了する浮世絵の傑作と言われます。
この「富岳三十六景」という連作は、1830年頃から版元の西村永寿堂から順次発表されました。
この頃、庶民も旅や行楽にも関心を持つ余裕が生れ、富士信仰の高まりも相まって、これらの作品は飛ぶように売れました。

富岳三十六景の魅力はいくつも上げられますが、まずは「神奈川沖浪裏」の迫力ある白波をはじめとする、斬新で大胆な構図でしょう。
また、様々な場所の特色をとらえながら、そこから見える富士山の四季折々に変わる姿を、様々な大きさと角度から見せてくれます。
そして、富士山が主役ではありますが、日本の自然の山野や日常の情景や、そこで生活する人々の姿も生き生きと伝えてくれています。
さらにベロ藍を使った北斎ブルーは、この連作の魅力をより引き立てることとなりました。


葛飾北斎「富嶽三十六景 神奈川沖浪裏」

2020年2月4日以降の日本国旅券の査証ページには、この「富嶽三十六景」のうちの24作品があしらわれています。
又、2024年から発行されている新千円札の裏面には、「神奈川沖浪裏」が採用されています。
三十六景どの地から見える富士山も、その地で営まれる人々の日常も、実に大胆な構図の中に、細やかな表現と鮮やかな発色で描かれた富岳三十六景は、まさに日本が世界に誇る浮世絵となりました。

「追加の裏富士十図」

ところで、実は「富岳三十六景」は大変売れ行きが好調であったことから、追加で十景が出版されました。
当初出版された三十六景は表富士、後に出版された十景は裏富士と呼ばれ、合計四十六景となります。
表富士三十六景と裏富士十景の違いは、表富士は富士山の輪郭がベロ藍で描かれていて、裏富士は墨色で描かれている点です。


葛飾北斎「富嶽三十六景 甲州伊沢暁」

「北斎とベロ藍」

ベロ藍は18世紀初頭に、ドイツのベルリンで染料業者が偶然発見した人工顔料プルシャン・ブルーで、ベルリンで発見されたことから「ベロ藍」と呼ばれました。
ベロ藍は約1世紀後に日本に伝わり、その扱いやすさや発色の美しさ、濃淡のぼかし摺りもきれいに表現できることなどから、絵師達の間で評判になりました。
北斎は早速ベロ藍を取り入れ、透明感のある印象的な青を多用して「冨嶽三十六景」を描き、大評判となりました。


葛飾北斎「富嶽三十六景 相州仲原」

「富岳百景」

「富岳三十六景」と追加で十景を描いた時、北斎は既に60歳を超えていましたが、富士山画への思いは途絶えることがなく、75歳になって富士山画の集大成となる「富嶽百景」を出版します。
「富嶽百景」は「冨嶽四十六景」では描きたりなかった富士山への思いを深めた作品で、全102図からなる探求を深めた絵本です。
この絵本は、四十六景と違い、富士山の姿だけでなく、富士という霊峰に伝わる神話や伝承、物語や文字などを、多角的に考証して描いたものです。
四十六景が多色摺りであったのに対し、百景は単色摺りで、特に近景を大きく描き、遠くに富士山を置く遠近法を活用し、ダイナミックな構図が特徴的な絵本です。


葛飾北斎「富嶽三十六景 東都駿臺」

「北斎と富士山」

若い頃から実に多種多様な絵を描いてきた北斎でしたが、晩年になって「富岳三十六景」を筆頭に風景画、それも富士山を描くことがライフワークとなっていきます。
75歳となった北斎は、富士山画の集大成となる「富嶽百景」を出版し、その巻末に「画狂老人卍」と号し、初めて自ら跋文(あとがき)を載せています。
そこにはこう書かれています。


葛飾北斎「富嶽三十六景 江都駿河町三井見世略圖」

「己六才より物の形状を写の癖ありて、半百の比より数々画図を顕すといへども、七十年前画く所は実に取に足ものなし。
七十三才にして稍(やや)禽獣虫魚の骨格、草木の出生を悟し得たり。
故に八十才にしては益々進み、九十才にして猶其奥意を極め、一百歳にして正に神妙ならん歟(か)。
百有十歳にしては一点一格にして生るがごとくならん。
願くは長寿の君子、予が言の妄ならざるを見たまふべし。」

(私は6歳の頃から物の形を写しとる癖があり、50歳の頃から数々の画図を描いてきたが、70歳より前に描いたものは、取るに足らないものだった。
73歳になって、動植物の骨格や成り立ちがわかってきた。
したがって、80歳でますます成長し、90歳でさらにその奥義を極め、100歳で神の域に達するのではなかろうか。
100何十歳となれば、点や骨組みだけで、生きているような感じとなるだろう。
願わくば長寿の君子よ、私の言葉が偽りでないことを見ていてください。)

老境に達してもなお、絵を描くことへのあくなき追及をする北斎にとって、富士山はどんなに描いても描き切れないほど、魅力のある題材だったのではないでしょうか?
恐ろしいほど絵を描くことを欲した画狂老人卍である北斎にとって、富士山は願ってもない唯一無二のモデルだったのかもしれません。


葛飾北斎「富嶽三十六景 本所立川」

富岳三十六景の風呂敷

浮世絵柄の風呂敷の中でも、葛飾北斎の「富嶽三十六景」は海外からの旅行客に大人気。
富士山が大好きな外国人には、「神奈川沖浪裏」柄と共に、この「威風快晴」の赤富士は大層好まれるそうです。
渋いところでは、「相州梅澤左(そうしゅううめざわのひだり)」が風呂敷になっています。 「梅沢左」とありますが、どうやら「梅沢在」か「梅沢庄」のあやまりで、現在の神奈川県二宮町梅沢地区のことだと考えられています。
原画は藍の濃淡の藍摺りですが、風呂敷では富士山と空を逆の藍のグラデーションで描き、山野は緑で、丹頂鶴で赤のワンポイントが粋な洒落た色合いの風呂敷になっています。


葛飾北斎「赤富士」柄風呂敷


葛飾北斎「相州梅沢左」柄風呂敷


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つつみ純子
お茶の水女子大学卒/風呂敷文化研究家/和文化コンシェルジュ/エコ・クッキング・ナビゲーター/福祉住環境コーディネーター2級/NPO法人徳育と人間力育成研究所アドバイザー
「日本の伝統文化を身近に再発見する」をキーワードに、風呂敷を通して、日本人の知恵や文化をお伝えしています。
又、日本古来の「年中行事」や「四季のしつらい」、「伝統食育」など、日本の生活文化を伝える講演やワークショップも展開しております。
2011年には国際交流基金からポーランド・グルジア等に派遣され、文化交流事業の風呂敷講師として、大学・政府関係機関などで風呂敷講座を行いました。
国内のみならず海外の方々へも、風呂敷を通して日本文化と日本の心をお伝えして参りたいと思い、 オリジナル風呂敷「ふろしきぶる風呂敷」と「つつみフロシキブック」を製作しました。
2020年東京オリンピックでは「大江戸オリンピックは風呂敷でおもてなし」を提唱しています。
また研究し纏めてきた「ふろしき学」が、2015年より都立で単位認定のある授業に採用され、実施しております。
学校教育の中でも、ふろしき文化をこどもたちに伝えていきたいと思っています。
「ふろしきぶる風呂敷」を活用した風呂敷文化の普及及び販売が、東京都中小企業振興公社の支援を受けることになりました。


□URL http://www.furoshikible.com/
□blog http://ameblo.jp/11264ki/
□Facebook https://www.facebook.com/junko.tsutsumi.332


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