霜月の和の住まい
日本の住まい
住まいは、風雨を凌ぐだけでなく、そこに住まう人々の日々の営みを支えるものです。
その住まいとそこでの生活は、その地域の気象や地理的条件など、風土により大きく左右されます。
又、その地域の歴史や時代背景によって紡がれた、人々の考え方によっても、変わってきます。
日本という国の風土と歴史の特性が生かされた、和のすまいを改めて見直してみたいと思います。
床座と柱
日本の住まいの特徴は、床座(ゆかざ)と呼ばれる起居形態が使われて来たことです。
しかし、元々床があった訳ではなく、原始的な竪穴式住居では土の上で起居していましたが、その後、簡素な板床をしきはじめます。
平安時代になると、板床の上に敷物として置く畳が生まれます。
次第に畳を敷き詰めるようになり、日本の家の中では、板床と畳床が使い分けられて行くことになります。
もう一つの特徴は、西洋の建物が壁で支える構造なのに対し、日本の家屋は柱と梁で支えるということです。
西洋の建物の壁は石や煉瓦で作られるので、変形を起こしにくく強固です。
それに対し、木を材料として作る日本家屋は、垂直な柱に水平な梁で骨組を作るので、外からの力には、揺れて変形しやすい構造です。
一見、日本家屋は西洋の建物に対し、弱いように思えます。
しかし、この揺れる構造こそが、幾多の地震にも耐える余力を持ち、今も古い建物が残されているのだそうです。
大黒柱
日本の伝統的な建築で、土間と床上との境目の中央にある柱のことです。
柱の中で一番太い物を使い、磨き上げられた欅や檜を使うことが多いようです。
太く立派な柱になるためには、欅なら100年以上、檜なら150年以上かかるということです。
それも、野放しで育ったものはほとんど使い物にならないので、大きく育つ前に「枝打ち」などを行い、育てていく必要があるのです。
風が強いとそれに逆らうように木が曲がったり、日照条件によっても、ねじれたり生育が悪くなったりします。
そのような色々な条件の中で、大事に育てられた木々の中から、選ばれたものだけが、日本家屋の大黒柱として使われます。
大きな家では、やはり大黒柱を入れた方が丈夫ですが、現在では、小さい住宅が増えたことや、技術の進歩により、大黒柱を入れない家も増えました。
住宅に使われることが減りつつある大黒柱ですが、家の棟を支える役目があることから、今は家族を支える一家の主人を示す言葉となって使われています。
霜月のふろしき 正倉院柄
今月霜月の話は柱と木の話。
奈良の正倉院は檜で高床式に造られており、床下には直径約60センチの丸柱が自然石の礎石の上に立ち並んで、巨大な本屋を支える構造です。
柱と木繋がりで、ふろしきも正倉院柄をご紹介。
霜月のまちかど風呂敷 風呂敷ハンドバッグ
山手線で見かけた若い女性がお持ちだったのは、カラフルな風呂敷で作ったバッグ。
四つの端をそれぞれ結んで取っ手を作り、隣り合った取っ手をそれぞれ結んで、ハンドバッグのようにしてあります。
来年春にはレジ袋が有料になるので、風呂敷を買ってやってみたとのこと。
こういう方がだんだん増えてくれるといいなと思っています。