どんなに良い申請書でも読み手がわからなければ不採択になります
はじめに
こんにちは。税理士の大美賀です。
梅雨の時期特有のジメジメした毎日も明け夏の日差しとなりましたが、いかがお過ごしでしょうか?
私は外回りが多いため、この季節は荷物を少しでも減らしたいところです。
しかし、最近の東京は、ゲリラ豪雨がしばしばおこりますので、傘が手放せず余計な荷物が一つ増えてしまいました。
数年前からキヨスクで、とても軽くて小さな折りたたみ傘が販売されるようになりました。
特許もしっかり取得しているようです。
環境の変化に伴い、普段から傘を持ち歩く人が多くなったことを捉えた新たなアイデア商品です。
単純に言えば誰もが持っている傘を「軽くコンパクトにし、カバンに入れて持ち歩けるようにした」だけですが
(実際には折りたたみ方などに工夫があるようですが)、それが特許となるわけです。
このことからわかることは、新たな商品の開発とは、今までなかったものを一から生み出すだけではなく、
今あるものに少し工夫をし、消費者のニーズに合ったものに変化させるということも含まれるということです。
どんなに良い申請書でも読み手がわからなければ不採択になります
6月の終わりに前回お話ししました「平成26年度補正 ものづくり・商業・サービス革新補助金【1次公募】」の結果発表がありました。
私がお手伝いし採択された事業の中でとても印象に残った事例がありますので、簡単にですがご紹介させていただきます。
とはいえ、内容を公開するわけにはいきませんので、事業の内容が直接わからない形でご紹介いたします。
その事業は、私がお手伝いするまでに2度応募し、2回とも不採択になってしまった事業でした。
はじめに事業の中身をご説明いただき、「この事業なら補助金を獲得できそうだ。」というという印象を受けました。
そして、前回までに提出した申請書を拝見させていただきました。
拝見し、率直に感じたことは、「申請書がとてもよく書けているし、事業計画もしっかりしている。」というものでした。
ただし、専門用語が少し多いことと、「そもそも」が抜けていたのです。
「そもそも」が抜けていたというのはどういうことかというと、
例えばですが、皆さんが毎日?飲まれているコーヒーを、よりおいしく提供するための製造方法を開発するということで補助金の申請するとします。
そして、そのためには、どのような機械が必要で、何人くらい人を使わなければならないという計画を申請書に書きます。
コーヒーをよりおいしく提供するための製造方法を開発しようとする事業者は、コーヒーの製造についてはプロのはずですから、
得意になってその内容を申請書に記載します。
しかし、その申請書を読む審査員は、「そもそも」コーヒーの製造過程を知っているでしょうか?
コーヒーが大好きで毎日飲んでいる人でも、コーヒーがどのように作られるかを事細かに把握している人はあまりいないと思います。
当然審査員も同じです。
2度不採択になってしまった事業の申請書もそういったものだったのです。
そこで、今回私がお手伝いしたことは、「そもそも」コーヒーはどのように作られるのか?
という製造過程の図を添付したことと、専門用語をわかりやすい用語に変えたことだけです。
たったそれだけで、無事採択されました。
審査員は、何百といった申請書を短期間で読まなくてはいけない訳ですから、わからないことや、
わからない用語を調べてまで審査をしてくれません。
わからなければ不採択ということです。
今回ご紹介させていただいた事例は、短時間で読んで理解できるような申請書を作成しなければ、
どんなに良い開発事業であっても採択はされないという良い例だと思います。
最後に
平成26年度補正 ものづくり・商業・サービス革新補助金の2次公募が受付を開始しました。
8月5日が締め切りです。
内容は、1次公募と同様ですので、この補助金相談の第5話を見ていただき、簡易診断シートを使って採択の可能性を判断してみてください。
10点以上にならなくても、是非申請してみたいという方がいらっしゃいましたらお声掛けいただければ幸いです。