あてはまる項目がある企業は補助金を受けられる可能性大!
□新たに商品の開発や新サービスを考えている企業
□海外展開を考えている企業
□特許の出願を考えている企業
□省エネに関する商品を研究している企業
□環境に配慮した商品を研究している企業
□見本市などに出店を考えている企業


計画書を作成しましょう II




はじめに

こんにちは。税理士の大美賀(おおみか)です。
12月に入ってぐっと寒くなってきました。
しかし、1年の中で一番夜の外出が多くなる時期でもあると思います。
健康に気を付けて今年を乗り切りましょう。

さて、前回は「計画書を作成しましょう」ということでした。
まずは4項目だけに絞って、A4用紙1枚程度に箇条書きにしてみるという内容でした。
もう一度おさらいするとその4項目は

①どのような製品を作ろうとしているのか
②どのくらいの期間がかかるのか
③この計画にかかわるのは誰か
④開発費用は、何にいくらかかるのか

ということでした。
今回は、この4項目にどう肉付けをして計画書にするかです。



「なぜ?」を追加しましょう

始めに言ってしまうと肉付けは単純です。
先ほどまでの4項目は、計画書を作成する側の考えをまとめたものでしたが、
今度はその4項目を読み手側の立場にたって「なぜ?」と思うことを追加すれば良いだけです。

通常、計画書の読み手は、出資者、銀行、補助金の審査員などであり、 その会社に対して何らかの形でお金を出そうと審査する人達です。
そして、この審査をする人達は①の「どのような製品を作ろうとしているのか」という会社の計画に対し 「なぜその製品を作ろうとするのか?」という疑問をもちます。
計画書には、その「なぜ?」を追加すればよいのです。






具体的には

当社の事を全く知らない読み手の「なぜその製品を作ろうとするのか?」という疑問に対しては

「当社は、今まで○○という理念に基づいて○○ということをしてきました。得意分野は○○です。」

といったように当社を知ってもらうための説明を最初にする必要があります。
なぜならば、読み手は「この会社は本気でその製品を作ろうとしているのか?その製品を作る力が本当にあるのか」といった疑問を持つからです。
いくら良い製品の計画でもそれが実現可能な計画でなければ意味がありません。

例えば私のような税理士が
「私は、今まで納税義務の適正な実現を図るという理念に基づいて多くのクライアントの税務申告を行ってきました。 得意分野は所得税です。これからは環境に配慮した家を建築したいと思います。」
という計画書を作成した場合、全く現実性がないですよね。

しかし、老舗の建築会社が、
「当社は、今まで安心して暮らせる街づくりに貢献するという理念に基づいて1万棟以上の住宅を建築してきました。 当社の強みは地震に強い建物を提供する技術です。これからはより地震に強く環境にも配慮した家を建築したいと思います。」
という計画書を作成した場合、読み手も安心して
「では、環境に配慮した家とはどういう家か?」
という次を期待して計画書を読むと思います。
そのために、まずは会社を知ってもらうための説明が不可欠です。

次に、現在の社会情勢や競合他社の状態などを説明し新製品を開発する理由を説明しなくてはなりません。
「なぜ新製品を作ろうとするのか?」に対する理由がそこにあるからです。
具体的には、
「当社を取り巻く環境は、現在○○であり、競合する他社では○○などを発表している。 当社も○○という新製品を開発することにより、それが消費者にとって○○という効果をもたらします。 そのため当社は○○という新製品を作ります。そして、新製品は・・・・・・・・というものになります。
といった具合です。



業界用語、専門用語はダメです

ここで気を付けなくてはいけないことは、赤字で書いた「新製品は・・・・・・・・というものになります。」のところです。
ここは、新製品の内容を書くところですので計画書の中でもメイン中のメインです。
誰でもメインのところが一番伝えたいところなので詳細に書こうとします。
もちろん詳細に書いていいのですが、気を付けなくてはならないのが業界用語、専門用語を使わないということです。

先ほども書きましたが、計画書の読み手の多くは出資者、銀行、補助金の審査員などです。
ものづくりに関しては素人です。業界用語、専門用語を使うと意味が分からなくなってしまいます。
特に補助金の審査員は一つ一つの意味を調べてまで計画書を読む時間はありません。
一定の時期に多くの書類が届くためです。
意味が分からなければどんなに良い計画でもその場で読まなくなってしまいます。
読み手が読まなくなってしまったら計画書の意味が無くなってしまいますよね。
「業界用語、専門用語は使わない。」これが大切です。






完成までもう少しです

ここまで書くとだいぶ計画書らしくなってきます。
初めて計画書を作るときは殴り書きでも良いです。
文章を作るということは慣れが必要ですので何度も書いているうちに良いものになっていきます。

そして、ここまでが計画書のほぼ9割です。

後の3項目は、はじめのA4用紙1枚に少しだけ加えてあげるだけで大丈夫です。

②の「どのくらい期間がかかるのか」という会社の計画に対しての読み手の疑問は「なぜそれだけの期間がかかるのか?」です。
この疑問に対しては、始めにA4用紙1枚に書いた期間を少しだけ細分化し、これだけの工程が必要なので、 このくらいの期間がかかるといった内容にすれば良いです。



具体的には、
「この工程には、○○といった部品が必要で、この部品は発注したら○○で納品があり、 それを加工するのに○○くらいの期間かかる。そして、それを組み立てるのに○○の期間がかかり、 完成といえる状態にするまでに○○の時間がかかる。」
とすれば理解しやすいですよね。

次に、③の「この計画にかかわるのは誰か」という会社の計画に対しての読み手の疑問は「なぜその人がかかわるのか」です。
この疑問に対しては、始めにA4用紙1枚に書いた人達を②の工程にあてはめ、この人達がどのような技術をもつかなどを添え書きして
「この工程にはこの人の○○といった技術が必要だ。」
ということを書けば良いだけです。



開発費用は裏付けが重要

最後に④ですが、ここだけは「なぜこれだけの開発費用が必要ですか?」ということにはなりません。
なぜなら新製品の開発だからです。
過去に例がないので「これだけかかります。」と言われたら「なぜそんなにもかかるのですか?」という疑問を持つことが難しいからです。
しかし、適当な金額でもいけません。
そのため、本当にその金額は適正なのかという裏付けが必要です。
例えば、開発に機械が必要であるとか一部は委託が必要となれば、その機械の購入先や委託先の候補数社から見積もりを取り適正価格を示します。
また、人件費については、この開発期間だけ急に給料が増えるようなことは通常あり得ませんので、 それまでに支払った実績をもとに適正価格を示せば大丈夫です。
このように客観的にも適正だとわかる証拠をそろえて開発費用を計画書に記載することが必要です。
開発費用に対してどのくらいのお金を出す必要があるのかを審査する人達が計画書を読むわけですから開発費用の裏付けが大切なのです。






補助金の申請書との関係

補助金の申請の事前準備として普段から「計画書を作成しましょう」ということで、 2回にわたり簡単にですが、計画書の書き方の説明させていただきました。
計画書があれば補助金の申請がスムーズに行えるとお伝えしましたが、本当にスムーズに申請ができるのかの一例をご紹介したいと思います。
本年度、ものづくり関係で実際に公募のあった補助金の申請書には次のことを書くようになっていました。

①申請者の概要
②事業の内容
 A 事業名
 B事業計画の内容
 C事業経費の明細
③これまでに補助金を受けた実績
以上です。

この様に、補助金の申請書は、新製品の計画書とほぼ同じなのです。
③のこれまでの実績については、無ければ無いで終わりですし、あってもその補助金の名前を書くくらいです。
中には、人件費は日給いくらまでといった規定が設けられていることもありますが、その分は補助金が出ないというだけで 人件費を見直す必要は通常ありません。

どの補助金も申請期間がとても短いです。
そのため普段から計画書を作っておくことが補助金申請の事前準備にもなり大切だということがおわかりいただけたと思います。



最後に

今回は割愛いたしましたが、計画書には「新製品の開発による将来の決算の見込み(3年、5年後の決算見込み)」 というものを書くことがあります。
補助金の申請書でも将来の決算の見込みを求められることがありますので、またの機会にご紹介させていただきたいと思います。

次回は、具体的な補助金の公募があればご紹介させていただきたいと思います。
衆議院の解散により27年度の予算審議も遅れますので、何もないようでしたら「予算から見える27年度の補助金の展望」 についてご紹介させていただきたいと思います。