「なぜ、ユニットバスなのか」
-ステイタスのあるバスルームつくりのために-
日本のバスルームの主流は、北は北海道から、南は九州まで大手メーカが制作するユニットバスです。



ユニットバスの一般戸建住宅への普及は、平成の時代に入ってからです。
それまでは、集合住宅・ホテル等では、一般的に採用されていましたが、一般戸建住宅はまだまだ、普及が進んでおりませんでした。
私共が、メーカーに勤めている時、建築会社へPRへ行っても、

「戸建住宅にユニットバスを使う建築業者なんていないよ。」
とよく言われておりました。

確かに、その当時のユニットバスは、デザイン的に現在のものと比べ物にならないくらい貧相なものが多く、 集合住宅用ユニットバスに毛の生えたものが、大半でした。
しかし、メーカー側の努力により、様々な改良が加えられ、デザイン的にも優れたものになりました。 但し、北海道等の寒冷地区では、昭和58年頃にはかなり普及をしていました。その理由は、後でご説明いたします。

この様な、供給側のメーカーの努力(売上げ拡大の為の)とは別に、採用する側の建築業者のメリットが だんだんユニットバスの特徴と合致するようになって来ました。



その合致する点とは、

1. 住宅建築がブームとなり、建築工期の短縮が求められた。その、工期の短縮を進めるための、最大のネックとなる所は、 湿式で行なう部位が存在することでした。その部位とは、まさに、あなたがこだわろうとしているバスルームです。
(その他の部位は、1.外壁のサイディング化 2.キッチン前の壁のパネル化 3.内装のクロス化)
2. 住宅建築に保証制度が取り入られるようになった。
建築側としては、保証責任が明確になるもしくは責任が転化できる素材・商品を、採用するようになりました。 バスルームは、建築側にとって、湿式の在来工法(左官屋さんがモルタルを塗って、タイルを貼っていく工法)は、 漏水の保証は不可能な場所でした。
3. ユニットバスの価格低下
この様にユニットバスの普及に加速がついてくると、新規参入メーカーの参入もあり、メーカー間の価格競争も始まり、 価格がどんどん下がっていきました。
いまでは、戸建用ユニットバスの性能・デザイン性に差がほとんど見られなくなって来ているので、業者側の採用基準は、 自社の仕入れ価格の低さが、第一のポイントとなっている業者が多いようです。
4. その他、
施工・管理能力の低下があげられます。バスルームにおいて、ユニットバスが普及するにつれ、 設計提案をする必要が無くなった為、オリジナリティーの高い施工・管理が煩わしくなり、現場管理者の年齢も若くなり、 バスルームはユニットバスしか施工経験がない現場管理者も増えてきています。


ユニットバスの普及が、大半が設備機器メーカー・建築業者サイドの思惑で普及してきた事がお分かりになったと思います。

「いや、ユニットバスの普及で、一般庶民の住宅にも安全で、メンテナンスが易しいバスルームが手に入ったではないか。私は、十分満足だ。」
とおっしゃる方もいらっしゃると思います。
そう言うあなたは、全く正しいです。

でも、その様な方とは、誠に残念ですがここで、お別れです。拝読の程、大変ありがとうございました。


次回からは
「ふるまい風呂が出来るような、友達にも自慢できる、オリジナリティーの高い、バスルームの作り方」
についてお話していきます。